「江~姫たちの戦国~」(第3回)の江姫は「のだめ」だった
大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」の第3回(1月23日)は、信長が家康に妻子(正室の築山殿と長男の信康)を殺すよう命じるが、江にはその理由がわからず、直接信長に聞きに行く話が中心になっていた。
上野樹里は、第1回、第2回は「のだめ」(映画やテレビドラマで上野が演じた二ノ宮知子原作のマンガ『のだめカンタービレ』の主人公野田恵)にならないように意識して演技していたような印象があるが、第3回では表情、しゃべり方、動きが「のだめ」そのものだった。
姫たちの年齢と3姉妹を演じる役者の年齢に無理・無茶があることは今回も感じたが、彼女らに関する資料が乏しい分、このドラマは歴史的事実よりフィクション的な面白さを狙っているのかもしれない。次回は本能寺のようでテンポは早い。
◆上野樹里の江姫の演技とかけて、「カタコトの日本語を話す外国人の反応」と解く。そのこころは、「ノー! ダメね」。
というわけで、ドラマの話は以上で終わり、ここからは、「江」に登場する主な人物をお題に使った「なぞかけ」といきたい。どうしたら「なぞかけ」に強くなれるか。その方法を以下に述べまする。
▼お題「織田信長とかけて」
第1ステップは、信長から思い浮かぶ言葉や用語をリストアップする作業である。
南蛮渡来、バテレン、ルイス・フロイス、天下統一、鉄砲、桶狭間の戦い、足利義昭、楽市楽座、お市の方(当代一の美人といわれた実妹)、明智光秀、本能寺の変……。
思いつく言葉を書き出したら、次のステップに移る。第2ステップでは、リストアップした関連語のうち、同音異義語がなさそうなもの、共通点・共通項が見つからないような気がするものは落とす。
残す項目は、ややこしくない語、簡単そうなものがよい。そのとき、くそまじめに考えるのではなく、ダジャレっぽい考え方をしよう。
「南蛮渡来」のような合成語は、「南蛮」と「渡来」の二語に分けて考える。
南蛮≒カレー南蛮・何番・何羽(なんば)・難波(なんば)
渡来≒トライ(try)
という具合である。
バテレンは、体が疲れるという意味の「ばてる」という言葉が連想されるので、使えるかもしれないと考えて残す。
ルイス・フロイスはポルトガル人の宣教師だが、そういう難しいことは考えず、「フロイス≒風呂・椅子」というように発想すると、使えそうだと気づく。
こんな要領で使えそうな項目をいくつか残したら、次のステップに移る。第3ステップは、残した項目の共通点を具体的に考える作業である。
たとえば、お市の方。お市の方は、「江」では鈴木保奈美が演じている。「お市」と呼ばれることも多いから、その呼び名からダジャレっぽい連想ゲームをする。
お市≒おいち(にっ、さん)⇒「おいっち、にっ、さん」⇒ラジオ体操の掛け声
ここまでできたら整ったも同然で、さらに連想を飛躍させるだけだ。
おいっち、にい、さん⇒(信長は)お市の兄さん
これで、「整いました」となる。
◆織田信長とかけて、「ラジオ体操」と解く。そのこころは、「おいち、にい、さん」(掛け声)/お市兄さん(信長はお市の兄)。
「なぞとき」の答えは、一つとは限らない。練習のために、お題「織田信長」で別の答えを考えてみよう。
なぞときの答えは、誰もが知っている答えにするのが鉄則である。
今は大河ドラマをやっているから「江」の名はポピュラーになりつつあるが、これまでは宮沢りえが演じている茶々ほど知名度は高くなく、大河ドラマがなかったら「それ、誰?」といわれる人物である。
なぞときは、こういうことを頭に入れて考えないといけないのだ。
織田信長というお題で考える場合、誰もがよく知っている関連人物や事件・出来事というと、使える言葉は限られてくる。
本能寺の変で明智光秀に殺されることは、よく知られているので、これを使おうと決めてから考えるやり方もある。
「本能寺≒本能+痔・ほんの宇治(茶)・本のウジ(虫)」で考えるより、明智光秀の方が簡単そうに思えるので、明智光秀を残す。
明智という姓で誰もが思い浮かべるのは、江戸川乱歩の小説「怪人二十面相」に登場する名探偵明智小五郎である。明智光秀と明智小五郎なら、姓が共通。そこまで考えたら、もうできている。
◆織田信長とかけて、「怪人二十面相」と解く。そのこころは、どちらも明智にしてやられます。
やり方がわかったら応用問題である。信長を取り上げたので、家康と秀吉もやってみよう。
▼お題「豊臣秀吉とかけて」
①連想ゲームで、秀吉の関連事項をまずリストアップする。
太閤、検地、刀狩、ねね(正室)、茶々(側室)、日吉丸(幼名)、秀頼(息子)、聚楽第、千成瓢箪、猿(あだな)、千利休、大阪城。
②そのなかで、同音異義語ないしはそれに近い言葉がありそうなものを残す。
太閤≒太鼓、明太子、妙子、だいこん。検地≒ケチ、けんちん汁。ねねとか茶々も使えそうだが、「猿≒去る」が簡単でわかりやすい。
③こころを「さる」と決めて、共通項を探せばそれで整う。
◆豊臣秀吉とかけて、「帰ってゆく人」と解く。そのこころは、さる(猿/去る)。
同様にして、次のような答えも成り立つ。
◆豊臣秀吉とかけて、「念を押するクセがある人」と解きます。そのこころは、ねね(正室)/「ね、ね」
ねねは、「おね」とも呼ばれたことを使う手もある。
◆豊臣秀吉とかけて、「登山家」と解く。そのこころは、おね/尾根がいい。
◆豊臣秀吉とかけて、「ねだり上手な女の殺し文句」と解く。そのこころは、「おねがいい/お願いィ」)
練習の仕上げは家康で考えてみよう。
◆徳川家康とかけて、「ナイアガラの滝」と解く。そのこころは、ばくふ(幕府/瀑布)です。
◆徳川家康とかけて、「みかん」と解く。そのこころは、みかわ(三河/実・皮)が大切です。家康は三河の出。みかんの皮はマーマレードになる。
◆徳川家康とかけて、「フルコースのフランス料理のオードブル」と解く。そのこころは、やがて駿府(すんぷ)/スープに移ります。(秀忠に将軍職を譲った家康は、江戸城から駿府城に移った)
もっと簡単でわかりやすい例を示そう。
◆信長・秀吉・家康とかけて、「グラビアアイドルの写真集を見て、思わず呟いた大阪のおっちゃん」と解く。そのこころは、「ええけつ(英傑/いいケツ(尻))やなァ」
おあとがよろしいようで――。
(城島明彦)
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