おすすめの青春小説(電子書籍)の新刊2冊『グッバイ! 戦闘服の少女』『恋は紙飛行機に乗って』
少し前の話になるが、伊藤左千夫の『野菊の墓』の現代語訳を終え、版元に渡した。
これは電子小説として、近日中に配信される予定だ。
この本は、明治時代に書かれ、夏目漱石が激賞した純愛小説である。
私がこの本を読んだのは中2のときだったが、読みながら泣いた。
泣いたのは私だけでなく、読んだ人は必ず泣いていることがわかった。
木下恵介がそれを映画化し、これまた絶賛された。
題名がよかった。「野菊のごとき君なりき」
私は、その映画を、それからかなりたってからテレビで見て、また泣いた。
山口百恵がヒロインに扮したテレビドラマも放映され、それも見たが、またまた泣いた。
その後、松田聖子がヒロインに扮した映画が東映でつくられたが、これは映画館へは見に行かなかった。しかし、テレビで放映されたときには見て、またまたまた泣いた。
あるとき、レンタルビデオ屋で「野菊のごとき君なりき」のビデオを見つけ、借りて見たら、また泣けた。筋がわかっているのに、泣いてしまった。
6年ぐらい前に、100円ショップで、『野菊の墓』の本が売っているので買い求め、読んでみたら、「難しい表現がこんなに多かったのか」と気づき、「会話がダサい。今の中学生には、無理かもしれない」とも思ったものだった。
そういうことがあったので、中学生がすらすら読めるような今の言葉に訳したらどうかと思ってきた。
現代語訳は、そんな気持ちからスタートした。
文章が難しくても、矛盾した表現がいっぱいあっても、ダサい会話が並んでいても、本は原作で読むのが一番なのかもしれないが、現代の言葉にわかりやすく書き換えたものを読んで感動したら、原作を読めばいいと私は考え、訳したのである。本が出たら、改めて告知したい。
話かわって、本は紙媒体から電子媒体へと移りつつある。
そういう流れのなかで、私が30代の頃に小説誌に書いた短編小説も、今風にアレンジしなおし、電子書籍として復活した。
2冊とも値段が安い。『恋は紙飛行機に乗って』が210円で、『グッバイ! 戦闘服の少女』は315円だ。
関心のある方は、ぜひどうぞ。
(城島明彦)

