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2010/09/30

池内淳子の死を悼む――彼女の主演映画「けものみち」(松本清張原作・須川栄三監督)は凄い

 池内淳子が亡くなったという。
 つい先日、「けものみち」(1965年東宝作品)のDVDを借りてきて、「この映画の池内淳子は凄いな。彼女は今、どうしているのだろう」などと思いながら見たので驚いた。
 彼女の代表作である「けものみち」は、今から40年前も白黒映画で、2時間20分の大作である。興味のある人は、ぜひ観てください。

 池内淳子は、最初新東宝にいて、テレビドラマの「日日(にちにち)の背信」(丹羽文雄原作)に主演し、人気女優になったが、社長の大蔵貢がそれを面白く思わず、女吸血鬼という汚れ役(「花嫁吸血m魔」「女吸血鬼」。どちらもDVDあり)をやらされ、それに嫌気がさして同社を辞め、東宝に移ったといわれている。
(ただし、その映画を見る限り、個人的な感覚では、それほどひどい役とは思えない。ほかにもっと大きな理由があったのだろう)

 「けものみち」という映画だが、池内淳子は、割烹旅館の仲居に扮し、客として来たシティホテルの支配人(池辺良)にそそのかされて、寝たきりの亭主を家ごと放火して殺害し、政財界の黒幕(小沢栄太郎)の妾におさまる大悪女を大熱演した。
 亭主殺しの犯人だとにらんだ刑事(小林桂樹)が、しつこく彼女を追いかけ、日本を揺るがすような真相が背後に絡んでいることつかむが、絵に描いたような政官財の癒着構造に阻まれ……という内容の映画である。

 小林桂樹も熱演していて、「うまいなあ。こういう演技ができる人は、今はいないな」と改めて感心した。
 
 フィクサー役の小沢栄太郎の老けメイクといい、ドスケベな演技といい、これも凄い。
 
 小沢栄太郎ははるか昔に冥途へ旅立ち、小林桂樹も先日鬼籍に入り、続いて池内淳子も亡くなった。

 昔は、くだらない映画もいっぱいあったが、こういう骨のある映画もたくさんあったのである。

(城島明彦)

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