「河は呼んでいる」(歌)のお話
映画「河は呼んでる」(「呼んでいる」ではない。原題「L’eau Vive」(ロ・ヴィーヴ)が封切られた当時(1957年)大ヒットした歌詞とはまったく違った新しい歌詞をつけ、曲も大幅にアレンジした「河は呼んでいる」のCDを聞いた。
このCDは、キングレコードから1991年4月5日に発売されており、アマゾンの通販で今でも入手可能。
「NHKみんなのうた」より「大全集・2」(南の国のハメハメハ大王)
というのが正式なタイトルである。
訳詞は大野汀子、坪能克裕編曲、歌手は春口雅子。
♪ そよふく風に ♪ 野ばらのかげに
ことりの群は ことりはいこい
河の流れに 森の泉も
ささやきかける 静かにねむる
ごらんよ あの空 ごらんよ あの河
しあわせの日が ささやく声が
あなたの上にも わたしのむねにも
ほほえんでいる よびかけている
歌詞もアレンジ(編曲)も、映画のなかで歌われるギイ・アベアールのフォーク調のシャンソンや中原美紗緒が歌った日本語訳の歌とは、まったく印象が違い、原曲とは似て非なるもの、改悪された「同名異曲」というしかない。
1番の歌詞「あなたの上にも」および2番の「わたしのむねにも」は、曲に対し字あまりで、いただけない。
「ごらんよ あの空」というフレーズを除いて、すべて7文字で日本語訳しているのだから、ここだけ8文字にするというのは手抜きだ。ここは、「あなたの上に」「わたしのむねに」とすべきであった。
しかも、全集に収録されたこの歌の長さは1: 57(CDジャケット表示。CDプレーヤーでの表示は2:00)。中原美紗緒が歌った当初の曲は3:41(CDプレーヤー表示)なので、半分以下に端折(はしょ)られている。
この「大全集2」の収録曲は、2分前半の曲がほとんどで、一番長いものは3分を超えているので、ほかの曲と比べても短い感じがする。
小さな子供向きの歌として流されたのだから、かたいことはいいっこなしというところもあるが、それにしても、ちょっと大胆すぎた。
(※歌「河は呼んでいる」、映画「河は呼んでる」についての詳細については、本ブログの別のところ―ー『あれから50年。〝NHK紅白歌合戦7年連続出場歌手〟中原美紗緒「河は呼んでる」の歌詞が消えた謎を追う』 [その1]09/07/09および〔その2〕09/07/10に書いているので、関心のある向きは、そちらをどうぞ)
(城島明彦)