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2010/03/17

怪奇ショートショート「兄と弟」

 その一家には男の一卵性双子がいたが、兄弟の運命は大きく異なった。
 兄は111歳まで長生きしたが、弟は11歳のときに死んだのである。
 弟の命日は11月11日だが、奇(く)しくもその日は兄弟の誕生日であった。
 その日がくると、家族は、兄の長命を祝い、弟の思い出を涕(なみだ)とともに語り合いながらその俤(おもかげ)を偲んだ。
 111歳まで生きた兄の死因は「老衰」ということになっているが、怪死を遂げていた。
 毒殺であった。
 世間体をはばかる親戚の医者が「老衰」との診断書を書いて、うやむやにしたので、誰が犯人かわからなかった。
 それから一年も経たないうちに、残された11人の家族全員が、連鎖的に次々と怪死し、一家は全滅した。
 空き家となったその家が取り壊される前夜、霊感の強い何人かの人が、若死にした弟と思われる幽霊が涙を浮かべながら屋敷をさまよう姿を目撃した。
 漢字占いに凝っている隣人もその一人で、前々から兄弟にまつわる奇妙な数字の一致はただごとではないと思っていた。
 その隣人がぽつりと呟いた。
 「双子の兄の仕業(しわざ)だ。祝・呪・涕・俤……呪いという字のなかに兄がいる」

 (城島明彦)

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