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2009/04/11

「〝男装の麗人〟川島芳子は処刑されておらず、生きていた(テレ朝)」だって?!  じゃあ、昨年末のドラマやこれまでの彼女に関するドキュメンタリーは一体なんだったのか?

 通説では、 
 「川島芳子は、清朝の親王の娘(王女)として生まれたが、日本人の養女になり、その養父に犯されたのが原因で、男装に転じ、第二次世界大戦では母国中国を裏切って日本軍に協力した。その罪で、戦後(1948年)、中国政府に処刑された」
 ということになっている。

 彼女が登場するドラマやドキュメンタリーは、99.9%、この線で作られてきた。

 ところが、テレ朝は、〝処刑された川島芳子〟の写真と生前の彼女の写真などとをコンピューターなどを使って科学的に解析・鑑定し、〝別人〟だという結論を導き出し、13日(月)夜7時から「報道発 ドキュメンタリー宣言」という番組に仕立てて流すという。

 番組予定表には、
 「世紀の大スクープSP独占公開! 男装の麗人川島芳子は生きていた (1)銃殺女性は替え玉! 清朝王族が歴史的証言 (2)李香蘭へ決死の伝言 (3)科学鑑定が暴く真実 (4)ぼう大な遺品を発見 (5)謎の人生を完全再現」
 とある。
 
 この話、ただ単純に「面白そうだ」というわけにはいかない。

 なぜなら、テレ朝は、昨年末(12月6日)、ドラマスペシャル「男装の麗人~川島芳子の生涯~」と銘打った番組を夜9時から流しており、そこでは彼女は処刑されたことにしているからである。

 そのドラマのインターネットでの番宣(テレ朝の「トレナビ」)は、今でも検索できるが、その冒頭、こんな文章が流される。

 「激動の王女として生まれ、日本軍のスパイとして生き、戦後、祖国の裏切り者として処刑された女――川島芳子。
 その波乱に満ちた生涯を壮大なスケールで描く、真実の物語」


  このドラマは、川島芳子をモデルにした小説が原作ではあるが、それからわずか4か月後には、
 「あのドラマは嘘でした。ドラマなんだから、どう描こうと勝手でしょ」
 といいたいのかもしれないが、そうはいかない。

 ご丁寧にも、
 「真実の物語」
 と謳っている。「真実であることを売りにしたドラマ」なのである。

 そういっておきながら、今度は、
 「川島芳子は生きていた」
 「世紀の大スクープ」
 とは聞いてあきれる。

 ゼニ儲けのためなら何をやってもいいのか、といいたい。

 処刑された女性の遺骸写真が川島芳子ではないと断定するためには、相当の調査・鑑定日数を要するので、ドラマの撮影が終わった後で事実が判明したという弁明は成り立たない。

 「昨年のドラマは、例え原作があるとしても、実在の人物を描きながら、視聴率を上げるために、事実を捏造してドラマチックな展開にしてしまいました」
 と、素直にテレ朝は視聴者に詫びるべきである。

 もし仮に、ドラマ撮影終了後に真実がわかったということであったとしても、視聴者には、そういうことを説明し、きちんと詫びなければならないのではないか。

 川島芳子という人物は、日中戦争という歴史の暗部に深く関わっているから、厳しいことをいうのである。

 テレ朝に限らず、日テレもTBSもフジテレビも、過去に川島芳子を題材にして、いくつもの番組を作ってきた。それらはすべて、「川島芳子は歴史に翻弄され、最後は処刑された悲劇の女性」として話を構築し、ドキュメンタリーの場合は、彼女と接点のあった李香蘭(山口芳子)の証言を必ず入れてきた。

 昨今は〝異説ブーム〟の感があり、歴史を勝手に捏造(ねつぞう)して楽しむ推理趣向の娯楽番組が増えているが、それも程度によりけりである。

 (城島明彦)

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