イチローをなめたらイカンぜよ! 韓国の超強気の作戦で、侍ジャパンは世界一になれた!
本来なら侍ジャパン楽勝の試合だったが、走者を置いて適時打が出ず、9回表の攻撃を終えた時点で、12安打を放ちながら、3対2の1点差。
粘る韓国は、9回から登板のダルビッシュの制球難につけいって、2つの4球を足がかりに、2アウトから執念でヒットで1点を奪取。3対3.とし、延長戦に。
10回表、侍ジャパンは、先頭打者内川、岩村が連続ヒットで出塁して0アウト1・3塁と絶好のチャンス。
たが、片岡の代打川崎はショートフライで、走者を返せず、1アウトとなって、イチローが打席に立った。
このとき、サインかノーサインかわからないが、岩村が2盗し、成功。1塁ベースが空いてしまった。
今日の勝敗を分けたのは、このときの韓国の超強気の采配。
一塁が空いているにもかかわらず、当たりが出てきたイチローを歩かさずに、勝負に出たのである。
イチローは、2ストライクを取られたが、ファールで粘って、センター前ヒット。2走者が返って、決定的とも思える2点が入った。
10回裏の韓国は、先頭打者が4球で出塁したが、9回裏に全力を使い果たしており、もはや、それまで。侍ジャパンが5対3で韓国を退け、世界一の座についたのだが、監督が原だけに、最後の最後までハラハラさせた。
この試合で、15安打も放ちながら、わずか5安打の韓国にぶざまに負けでもしていたら、それこそ原は「ハラ斬り」(切腹)ものだったが、かろうじて韓国を突き放した。終わりよければすべてよし、である。
韓国チームは、WBCの全試合を通じて少ない得点しかあげられなかったが、勝ちあがってきたのは賞賛に値する。
監督としての原辰徳のリーダーシップは、素晴らしいものがあった。
彼は極めて控えめで、決して目立つことをせず、相手チームや審判たちを刺激しないようにしていた。なかなかできることではない。
テレビ観戦していても、各選手が一丸となっている姿が感じられたが、それは、原の総帥力(そうすいりょく)であり、イチローの統率力であり、無念のケガで戦線離脱を余儀なくされた村田の見えない力でもあった。
韓国選手がマウンドに韓国旗を立てなかったら、侍ジャパンは負けていたかもしれない。そのあたりの読みが韓国選手は浅かった。屈辱感ほどモチベーションを刺激するものはない。
侍ジャパンが示した必勝術は、「野球は、点をやらなければ勝てる」ということだった。
歴史に「if」はないが、「もし、星野が監督だったら、どうなっていたのか」と思わざるを得ない。
原の力量が際立てば際立つほど、「星野仙一の北京五輪でのあの采配はなんだったのか?」という思いが強くなるのは、私だけだろうか。
侍ジャパンの選手たちよ、睡眠不足にさせてくれて、ありがとう。
(城島明彦)
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