アチャコの映画「お父さんはお人好し」を観た
神保町シアターで、アチャコ・浪花千栄子主演の映画「お父さんはお人好し」を、必要に駆られて観た。
監督はドタバタ喜劇の名匠といわれた斉藤寅次郎。
神保町シアターができて一周年記念という触れ込みの映画で、入場料は1本立てで1200円。
ちょっと高すぎないか。800円ぐらいが妥当では。
客はジジババばかり。というのも、この映画、今から半世紀も昔の1955年に封切られた作品で、当時、NHKラジオの連続ドラマだった同名の番組の人気がすごかったので、映画化されたもの。
中村玉緒が女子高生役で出ていた。
アチャコの映画は過去に何本かテレビで見ているが、何十年ぶりかで見た彼の演技は、思っていたよりはるかに自然でうまく、感心した。
さすが吉本興業をしょって立っていただけのことはある。
斉藤寅次郎の演出は、堺駿二(堺正章の父)が登場する場面など、どうしようもないドタバタ場面も何か所かあるが、全体を通してカメラワークやカット割りがうまく、三谷幸喜とは雲泥の差。
私は、当時、ラジオで放送を聞いていたが、そのときのアチャコのせりふ「もう、無茶苦茶でござりまするがな」は大流行した。しかし、映画のなかでは出てこなかった。
映画で使われた当時のギャグは、「えらいことにて、なりにけりや」というのが一回だけあった。「にて」という方がおかしく、会場で笑いが起きた。
(城島明彦)