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2008/07/04

「落書き」したけりゃ、京都へ行け

 「観光記念の署名落書き」だが、今回問題になっている海外の世界文化遺産のような場合は、「ちょっとした出来心」「旅の恥は掻き捨て」ではすまない。

  日本人の恥であり、日本という国や日本民族に対する国際的な信用・評価を落とすことに直接つながる。
 
 テレビ報道では、落書きした者の名前をモザイクで隠したが、なぜそのようなことをする必要があるのか。

 一罰百戒の意味もこめて、きちんと名前を映すべきである。

 そうすれば抑止力が働き、誰もやらなくなる。

 森本右近太夫という男、江戸時代初期の宝永年間にカンボジアに渡航し、アンコールワットの壁に「両親の菩提を弔うために渡航した」といった内容のことを「署名入り」で落書きした。

 この男、アンコールワットを『平家物語』に出てくる祇園精舎と勘違いしての海外渡航で、知識のなさを後世まで伝えることになった。

 新幹線の車体への落書きといい、先だっての北京五輪の聖火騒動の際の長野善光寺での落書きといい、日本国内には「汚らしいスプレー落書き」が満ちあふれている。

 そういうことをするのは日本に限ったことではないが、落書きは、書いた本人だけが満足するだけ。それ以外の人は不快感を覚え、町の景観をそこねる。そういう点は、世界共通。

 スプレーによる落書きは、イラストと文字の二種類に大別されるが、これまで、立ち止まって鑑賞したいと思うほどの芸術作品にお目にかかったことはない。

 イラストや絵では、横浜のJR桜木町駅駅近くの道路わきの壁面には、絵を描くことを認められた場所があるが、そこにもこれといったものはなかった。

 どうせ描くなら、スペインの「アルタミラの壁画」のような、後世の歴史の教科書に載るような落書きをしろ、といいたい。

 文字も同様。南北朝時代の「二条河原の落首」ような世相を風刺するようなクオリティの高い文章を書け。

 商店街のシャッターや道路わきの壁などにスプレーで落書きされた文字の形が、見た目に「美しい書体」なら、感心もし、見惚れもしようが、それらは、まるで示し合わせたように、同じ「丸っこい書体」で書かれている。

 個性がない。文字を書きたいなら、『落書日本史』(紀田順一郎著・三一書房)でも読んで、もっと風刺精神に富んだ気のきいた「文章」を書け。

 どうしても落書きしたけりゃ、京都へ行け。八幡市にある〝落書き寺〟こと単伝寺(たんでんじ)へ行け。

 そこの大黒堂の白壁は落書き、し放題。といっても、スプレーはNG。壁は大晦日に塗り替えられるから、書きたかったら、また行けばよい。 

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(城島明彦)

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