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2008/06/20

朝日は偉い「鳩山は死神」だと

 朝日新聞のコラム「素粒子」は、次々と死刑を行わせた鳩山邦夫法相を「死神」と書いた。

 やりすぎというより、良識を問われるレベルの低いギャグとしかいえない。

 「素粒子」は、複数の編集委員が匿名で書いている。
 
 匿名だからといって、いいたい放題、書きたい放題、悪ふざけが許されるというものではない。

 権力者をいたぶって、「庶民の味方でございます」というポーズなのか?

 鳩山が目に涙を浮かべて抗議したので、朝日は「こりゃ、まずい」と思ったのか、苦しい弁明のコメントを発表したが、「そんなことをするくらいなら最初から書くな」といいたい。

 誰だって、死刑執行の書類に判を押したくはないさ。

 だから、歴代の法相がなるべく判を押さないようにしてきたのだ。

 鳩山は、多発化する凶悪犯罪の抑止力になることを期待して、死刑を行う指示を出したのだ。

 国を憂える気持ちが彼の根底にある。


 抑止力に関しては、死刑反対派の国会議員亀井静香(元警察官僚)は、

 「抑止力などない。死刑をどんどんやっても、凶悪犯罪は減っていないじゃないか」

 といっているが、私はそうは思わない。

 何の罪もない人を勝手な理由で何人も惨殺しておいて、刑務所にぶち込まれても、反省の色すら見せない〝冷血な人でなし〟もいる。

 そういう人間までも「死刑にしないで生かし続ける」理由は何なのか。理解に苦しむ。

 死刑に値する人間とそうでない人間がいるわけで、それを一緒くたにして「死刑賛成」「死刑賛成」というつもりはない。

 文豪菊池寛は、『恩讐の彼方に』という名作を残している。

 私は、小学校時代に国語の教科書で、読んだ。小学生向けに「青の洞門」という題名になっていた。

 親を殺されて、その仇を討とうと探していて、ついに犯人を発見するが、そのとき犯人は、悔い改め、僧となって交通の難所となっていた場所にトンネルを掘っていた。

 自分を仇と狙う相手に「殺してくれ」というが、犯人の姿に打たれた相手は、首を振り、一緒になって洞窟を掘り続け、トンネルを開通させるのである。

 殺した人間と、殺された遺族との間に、こういう美しい結末がなくはないが、そういう心境(相手を許すという気持ち)に達するすることができる人間は、例外中の例外といってよい。

 秋葉原で殺された遺族の声が、テレビニュースを通じて流されているが、彼らの心情に共通しているのは、

 「犯人を許せない」

 の一言である。

 先に死刑の判決が出た「光市母子殺人事件」の遺族(夫)は、終始一貫して、「犯人は死刑になるべきだ」とエキセントリックなまでに叫び続けてきた。

 だが、先日の判決が近づいたあたりから、妙にトーンダウンし、「迷っている」といったニュアンスのことを口にし始めた。

 なぜそうなったのか。いろいろ推理できるが、ここではあえて書かない。

 
 抑止力ということについていえば、秋葉原の通り魔事件のあと、ケータイサイトに犯人を模倣した「殺人予告」の書き込みをする「愉快犯」が続出している。

 警察は、悪質な連中を逮捕する挙に出たが、これは明らかに抑止力として働くだろう。

 ケータイサイトに「匿名」で書いても、正確なアドレスやそれを誰が書いたのかということが特定されてしまうとわかれば、「軽い気持ちのおふざけ」や「世のなかを驚かしてやれ」的な愉快犯は激減するはずである。

 しかも逮捕されるとなれば、効果は抑止効果は目に見えて大きくなるだろう。

 明治以前、処刑現場を公開したのは、抑止力を期待してのことだった。

 「絶対に、誰にもばれない。警察にも捕まらない」

 と思うからこそ、凶悪犯罪が起きる。
 
 「簡単に捕まる」

 と思ったら、犯罪に走ったりはしない。

 「もし捕まっても、死刑になることは絶対ない。刑に服し、模範囚でいたら、恩赦でシャバに出られるかもしれない」

 ということになれば、凶悪犯罪に走ることを躊躇しなくなる。

 「世田谷の一家殺人事件」のように、いっぱい証拠があるのに、犯人が逮捕されないという、日本の警察の捜査力の低下が、凶悪犯罪を増加させているのだ。

 そこのところをきちんとすることを、まずやるべき、というのが私の主張である。

 端的にいえば、警察官の大量増員であり、イギリスのように監視カメラをあちこちに取りつけるということ、警察官の給料をあげて、優秀な人材を確保するようにするといったことなどだ。

 「振り込め詐欺」にしても、銀行の監視カメラで撮影した映像の解像度がひどすぎる。

 もっといいカメラを取り付けろ、といいたい。

 どこで誰が引きだしたかが映像ではっきりわかるようなシステムにしてあれば、犯人は簡単に逮捕できる。

 しかし、銀行は、そういうところには金をかけない。そこにも問題がある。

(城島明彦)

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