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2008/06/11

三谷幸喜は〝迷監督〟!?

 三谷幸喜脚本・監督の最新作「ザ・マジックアワー」公開の宣伝の一環として、フジテレビで彼の前作「THE 有頂天ホテル」を放映したのを見たが、退屈で途中で眠ってしまった。

 聞くところによれば、「THE 有頂天ホテル」の興収は60億円を超えたとのこと。

 これはすごいことなのに、そんな作品を、

 「筋(すじ)だけが上(うわ)すべりしているだけで、面白くない」「演出がドヘタ」「舞台中継をただ単純にテレビ中継しているような、ひどい演出」「カメラワークが最低」「登場人物がそろって薄っぺらく、実在感がない」

 などと感じた私は、自分の感覚が麻痺しているのではないか、とまじめに考えた。

 しかも、新作の興収は初日だけで5億円を超えたという。

 三谷幸喜は天才なのか。

 新作の公開に先立って、出資者の一社である宣伝上手なフジテレビは、

 「これでもか、これでもか」

 と、いくつものテレビ番組に三谷幸喜と主演の佐藤浩一を出演させ、話題性をあおった。

 私は体調をくずして床についていたので、そのほとんど全部を観た。

 観ながら、私が東宝で助監督をしていた頃、森谷司郎監督から直接聞いた話を思い出していた。

 森谷司郎は、黒澤明門下生の一人で「日本沈没」「動乱」「八甲田山死の彷徨」などの名作を残した名監督だ。

 「自作について、いろんなところでしゃべったり、書いたりしたらどうですか」

 と(当時、青臭い映画青年だった)私がいうと、彼はこう答えた。

 「映画監督は、自作について、ああだこうだと、くだくだ説明したり、ぺらぺらと話をしたりすべきではない。映画に表現されたことがすべて。観客が感じることがすべてだ」

 この言葉の意味を私は、

 「あそこのシーンは、実は、かくかくしかじか、これこれこういう意図でつくったんですよ」

 などとと、弁解がましいことはいうな、というように受け取った。

 なるほど、そういうものか、と思った。

 三谷幸喜という人は、発想が奇抜でユニーク、連続して素晴らしい興収を稼ぎ出す能力は非凡。
性格も(テレビでしか知らないが)よいようだし、面白い人で、好感が持てる。

 だが、映画監督としてのカット割り、カメラアングルやサイズ、人物の動かし方は、どうひいき目に見ても、「B級」としか思えない……。

 角川春樹を思い出した。

 角川春樹は「宣伝の天才」で、自身で映画を何作か監督し、大宣伝をかけ、話題を呼んだ。その結果、すごい興収をあげたが、映画の質はイマイチだった。

 三谷幸喜と角川春樹には共通する点がある。

 う~ん。 

 もっとも、私はまだ「ザ・マジックショー」を見ていないから、三谷幸喜をとやかくいう権利はまだないのかもしれないが。

(城島明彦)

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