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2008/05/20

立原道造の影響 「幸せは、どこにある」

 私が高校生だった頃にヒットした青春歌謡に次のような歌があった。

   幸せは どこにある
   あの雲の 行くところ
   幸せは 遠いもの
   あの山の その向こう
  
   そうじゃない そうじゃない
   幸せは すぐそこに
   街角の 工事場に
   横丁の 石垣に
   ポッチリと とまってる

 デュエットの曲で、男性歌手が金田星雄、女性歌手が小宮恵子。
 「幸せを掴んじゃおう」(横井弘作詞、中野忠晴作曲)という歌だった。
 今とは比べものにならないくらい時間がゆっくりと流れていた昭和三十年代後半(一九六〇年~六五年頃)の話だ。

 金田星雄は、当時プロ野球の国鉄スワローズ(現ヤクルトスワローズ)のエースだった〝カネやん〟こと金田正一投手(のち巨人に移り、日本プロ野球記録の四〇〇勝を達成)の弟。 

 この詞を読んで、前半が「山のあなたの空遠く 『幸』(さいわい)住むと人のいう」で始まるカール・ブッセの詩「山のあなた」、後半がメーテル・リンクの童話『青い鳥』をヒントにし、両者を合体したらしいと気づく人は多いと思うが、一読して立原道造の詩の影響を見抜いた人がいたら、その人は「えらい!」。

 
 立原道造の「村ぐらし」という詩のなかに次のような表現がある。

   道は何度ものぼりくだり

   その果ての落葉松(からまつ)の林には

   青く山脈が透いている

   僕はひとりで歩いたか さうじゃない

   その山脈の向うの雲を 小さな雲を指さした

(城島明彦)

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