物書きでありながら、私はブログを書くのは苦手だ。なんとなく億劫(おっくう)なのだ。
しばらく更新しないでいたのは、そのせいばかりではない。体調がよくなかったこともある。
昔から、時間をもてあましたときに、しばしば連想ゲームをした。「苗字の不思議」についてだ。
日本人の苗字は、山、川、田、畑など自然と関わっているものが多い。
江戸時代、庶民には苗字がなく、明治時代になって苗字をつける際、住んでいた場所にちなんで、苗字をつけた、と広くいわれてきた。
●まず、「山」のつく苗字から。
山の上の方にすんでいたから「山上(やまがみ)」。少ないが「山神」というのもある。
中ほどにすんでいたか、あるいは山のなかに住んでいたから「山中」。あるいは「山内」。
山の下の方に住んでいたから「山下」。
そして、山への登り口(入口)に住んでいたのが「山口」、「山本」、「山元」、「山根」。
ふもとあたりに住んでいたから、または、山のそばに住んでいたから「山辺」。
山の裾野に住んでいた者もたくさんいたはずだが、「裾野」という苗字は聞いたことがない。
山が出たついでに、山のつく苗字を思いつくままに挙げてみると――
山田、山井、山川、山生(やまう)、山室、山城(やまき)、山鹿(やまが)、山城……。
●「山」とくれば、「川」(河もある)。川のどのあたりに住んでいたのか。
上流から下流に向かって、「川本」、「川上」、「川中」、「川下」(こういう苗字はまずないが)、川口。
川の大きさは? 「大川」、「中川」、「小川」。
川の深さは? 「浅川」、「深川」。
川幅は? 「広川」、「中川」、「細川」。
川の流れ方は? 「立川」(町や村をタテに流れていた)、「横川」(町や村を横切って流れていた)
川のある位置(方角)は? 「西川」、「北川」(「東川」と「南川」は珍しい)。「川西」、「川北」。
どこにある川か? 「森川」、「宮川」、「谷川」、「山川」、「里川」、「村川」、「橋川」。
何と関係する川か? 「堀川」、「田川」、「井川」、「衣川」、「菱川」、「星川」、「氷川」。
こんなふうに連想ゲームをしていると、あっという間に時間が過ぎていく。
今日のところは、ここまで。
(城島明彦)