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2007/08/19

ひとだまのたたり

 中学時代に級友から聞いた本当にあった怖い話。

 クラスに「やぶにらみ」の目をした男がいた。

 その年代の男の子は、ズバズバとものをいっていた。

 「おまえ、どうして目がやぶにらみなの?」

 いわれた子も強かった。平然として、

 「便所で、ヒトダマを見たら、そうなった」

 と答えた。

 詳しい話は、こうであった。

 その少年が便所(昔はトイレなどという上品な言葉は使わなかった。無論、ぽっとん便所)で小便をし終えて出ようとしたら、格子窓の向こう(つまり、外)に火の玉が飛んでいた。

 火の玉は二つだった。

 そのうちのひとつが、窓から入ってきたという。

 少年は、トイレに立てかけてあった棒切れで火の玉を叩いた。

 真ん中を切り裂いたつもりだったが、手ごたえはなく、火の玉はまた外に飛び出し、視界をはみ出して空の高いところへ消えていった。

 「俺の片目が寄り目になったのは、そういうわけさ」

 と少年は得意げにいった。

 彼の話を聞いていた僕を含む悪童数人は、その日から彼を尊敬のまなこで見るようになった。

(城島明彦)

 
 

 


 

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