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2007/08/19

葬儀屋から聞いた怖い話

 数年前、葬儀屋の奥さんからこんな話を聞いた。
 
 葬儀屋夫婦が一人息子を亡くしたときのこと。

 息子は交通事故で死んだ。 

 死んでしばらくたってから、母親の枕元に息子の亡霊が現れた。

 気配でそう感じたという。 

 亡霊といっても、姿は見えなかった。声だけが聞こえた。

 「帰りたい」「帰りたい」と、息子はくりかえした。

 この世に未練がある、現世に帰りたい、というのだ。

 かわいい子供だから、できることなら生き返ってほしいが、もう葬儀は終わり、息子は遺骨になっている。

 それなのに、帰りたいと母親に訴えるのは、成仏できていないからだった。

 「おまえは、もう死んでいるのだから、この世に戻ることはできない。安らかない眠るんだよ、成仏するんだよ」

 優しくそう諭(さと)すと、息子の声は聞こえなくなったそうだ。

 不思議な話であるが、本当にあった話である。

(城島明彦)

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