« ひとだまのたたり | トップページ | 人魂(ひとだま)が体に飛び込んだ怖い話 »

2007/08/20

人魂(ひとだま)が減った理由

 これも、本当にあった怖い話です。 

 昔は、「昨日の晩、人魂を見た」というような話をしばしば耳にしたが、いつごろからか、めっきりそういう話を聞かなくなってしまった。

 その理由は、次の2つ。

 遺骸を埋葬しなくなったこと、戸外が昔とは比較にならないほど明るくなったこと。

 人魂は、雨が降った後、骨に含まれるリンが燃えるのだと説明され、墓地でよく見られた。

 僕が子供の頃、明治生まれの祖父から聞いた話に、

 「狸が、私を怖がらせようとして人魂を飛ばした」

 というのがある。

 祖父が死んだのは昭和43年春だが、若い頃は、交通機関もあまり発達しておらず、遠くまで歩いて旅をしたそうだ。

 祖父が(三重県の)名張にある親戚へ遊びに行ったとき、夜になった。

 月が照っているので、真っ暗闇ではないから、祖父はどんどん歩いていった。

 しかし、周囲には人っ子ひとりいない。

 そのとき、前方の木立のてっぺんで、大きな火の玉が燃え上がるのを目撃した。

 祖父はそれまでに何度も人魂を目撃していたが、そのときの人魂は、それはそれはでっかい人魂で、大きさが太陽くらいもあったという。

 その人魂は二つで、火の尾を引きながら、木の上でゆらゆらしていたかと思うと、やがて消えた。

 しばらくすると、身の丈2メートルもある巨大なタヌキが祖父の前に現れ、、二本足で立って「とうせんぼ」をした。

 「でっかい、きんだま(金玉)をしていた」

 と祖父はいったから、オスの大だぬきだったのだろう。

 そんなたぬきをそれまで見たことがなかったから、祖父はたいそう驚いたが、多少なりとも柔道の心得があったので、

 「くるならこい!」

 と大きな声でいって身構えたところ、大だぬきはじっと祖父をにらんだが、やがてすっと消えてしまったのだそうだ。

 こういう怪しげな話は、昭和30年代くらいまではよく耳にしたものだ。

(城島明彦)


 

 

« ひとだまのたたり | トップページ | 人魂(ひとだま)が体に飛び込んだ怖い話 »