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2006/08/12

予告篇 ケータイ掌編ホラー小説『怪し不思議の物語』

 予告
 ライブドアのケータイサイトで、8月18日から10日間にわたって掌編ホラー小説(城島明彦の『怪し不思議の物語』)をお送りするのに先立って、その方面のお話を少ししておきましょう。(購読料金は無料)


 うらめしや~
 古典的怪談を象徴する言葉は「うらめしや~」で、その代表格は「四谷怪談」。夫にさんざん裏切られ、いびり倒されたあげく、殺された女が、「うらめしや~」と化けて出る話ですね。

 怪談を一言でいうと、「こわ~い話」「ぞーっとする話」「身の毛もよだつ話」で、そこで語られるのは、怨念(おんねん)とか呪(のろ)いで、自分をしに追いやった相手への万感(ばんかん)の思いが集約されたのが「うらめしや~」です。
 「怪談 牡丹灯篭」とか「怪談 累ヶ淵(かさねがふち)」といった古典的怪談のハイライトシーンで使われる「うらめしや~」は、男に対する女の愛憎の表現であって、男が男に対して「うらめしや~」と迫ることは、あまりありません。

 城島明彦の『怪し不思議の物語』は、タイトルが示しているように、「背筋が凍る」とか「うわー、こわっ。トイレにいけなくなった」という感じの怖さではなく、「不思議な話だなあ」「怪しげな世界だ」と感じる内容になっています。
 その意味で、筆者は「ライトホラー小説」と呼んでいます。

 くわぃだん
 小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の小説のタイトルは、そのものズバリの「怪談」。原作の英語では「KWAIDAN」(くわぁいだん)ですね。
 古くから日本に伝わる「こわ~い話」や「因縁話(いんねんばなし)」をいくつかまとめたもので、「耳なし芳一」「雪女」(「雪女郎」)「むじな」などが有名です。
 筆者が好きなのは、そういう話です。今回お届けする10話の中には、小泉八雲の「雪女」へのオマージュが一篇含まれています。

 夏の季語「怪談」
 「怪談」の怪は、「怪しい」とか「怪しげな」という意味ですが、この「怪」という字のつく熟語を思いつくままにいくつかあげてみましょう。
 怪奇、奇怪、怪異、怪人、妖怪、怪獣、怪物、怪作、怪傑、怪人物、怪情報……。
 熟語によっては、ずいぶん意味が変わっていますね。
 「怪人二十面相」とか「怪傑ゾロ」になると、「ぞーっとする」という意味での「怖い」というイメージはなくなっています。

 化け犬?
 同じ動物でも、化けるものとそうでないものがあります。
 「化け猫」とか「怪猫(かいびょう)」という言葉はありますが「化け犬」とか「怪犬」というのは聞いたことがありません。
 犬は、うらみがましい動物ではないのです。飼い主に叱られたことよりも、かわいがられた思い出のほうを大事にする性格の動物です。「忠犬ハチ公」が好例で、彼は、主人の死後もずっと待ち続けます。
 映画「南極物語」でも描かれましたが、犬は、人間に置き去りにされても、再会すれば、過去のいきさつにこだわることなく、人に飛びついていきます。
 キリンやゾウが化けたという話も聞いたことがありません。
 狸や狐は変身して「人を化かし」ますが、化けて出てくるということはあまりありません。


 怨念(おんねん)
 動物の中で一番恐がられているのは、蛇です。
 姿かたちもさることながら、くねくねと動く様子の気味悪さ、二つに割れた舌……。
 蛇は、「怨念」とか「執念」という意味で怖がられてきた代表格です。
 歌舞伎などで演じられる「安珍清姫」は、男にそでにされた女が蛇になって、とことん男を追いかけます。
 「鶴の恩返し」の対極にあるのが、「蛇の怨念」でしょう。
 上田秋成の『雨月物語』には、「蛇執の淫(じゃしゅうのいん)」という短編小説が収められています。
 「蛇のような、ねちねちとした執念深さ。それがこわ~い」と思わせることが、古典的怪談の必須条件です。

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