義経(2) 『怪し不思議の物語』番外編 「謎だらけだから面白い」
〝裏・義経〟の意味は、正史には書かれていない義経という意味である。
正史というのは、歴史の教科書に出てくる内容を指すと考えてよい。
日本史上、英傑は数多いが、その中でも義経の人気は高い。なぜなのか。
それは、義経が最終的には敗者となったからである。
敗者の歴史は、勝者の手によって抹消される。
古来、歴史とは、そういうもの。正史は、勝者の側から描いたものなのだ。
したがって、勝者に都合の悪いことは書かれない。もし書かれたとしても、軽く触れる程度である。
「義経は鎌倉政権にたてついた反逆者」というのが、正史である。
しかし、仇敵(きゅうてき)平家を滅ぼした最大の功労者は義経だ。義経が平家を倒したからこそ、頼朝は天下を平定できたといえる。
「それなのに、その実の兄に嫌われ、最後は自害に追いやられる。どうして、そんな目に遭わなければならないのか。理不尽じゃないか」
勝つか負けるかわからない戦(いくさ)に命をかけ、その手で勝利をつかんだ功労者が報いられるどころか、葬り去られたのではたまったものではない。
かわいそう、と思うのが人情。これが「判官(ほうがん)びいき」というやつだ。
義経は正史から葬り去られたことで、資料も記録もほとんど残らず、謎だらけの人物になってしまったが、それと引き換えに、彼は人々の心に永遠に生き続けることになった。
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