« 義経(1) 『怪し不思議の物語』番外編   「あぶない義経」 | トップページ | 義経(3)  『怪し不思議の物語』番外編  「色白・出っ歯・小柄」  »

2005/07/29

義経(2) 『怪し不思議の物語』番外編  「謎だらけだから面白い」

 〝裏・義経〟の意味は、正史には書かれていない義経という意味である。
 正史というのは、歴史の教科書に出てくる内容を指すと考えてよい。
 日本史上、英傑は数多いが、その中でも義経の人気は高い。なぜなのか。
 それは、義経が最終的には敗者となったからである。
 敗者の歴史は、勝者の手によって抹消される。
 古来、歴史とは、そういうもの。正史は、勝者の側から描いたものなのだ。
 したがって、勝者に都合の悪いことは書かれない。もし書かれたとしても、軽く触れる程度である。
 「義経は鎌倉政権にたてついた反逆者」というのが、正史である。
 しかし、仇敵(きゅうてき)平家を滅ぼした最大の功労者は義経だ。義経が平家を倒したからこそ、頼朝は天下を平定できたといえる。
 「それなのに、その実の兄に嫌われ、最後は自害に追いやられる。どうして、そんな目に遭わなければならないのか。理不尽じゃないか」
 勝つか負けるかわからない戦(いくさ)に命をかけ、その手で勝利をつかんだ功労者が報いられるどころか、葬り去られたのではたまったものではない。
 かわいそう、と思うのが人情。これが「判官(ほうがん)びいき」というやつだ。
 義経は正史から葬り去られたことで、資料も記録もほとんど残らず、謎だらけの人物になってしまったが、それと引き換えに、彼は人々の心に永遠に生き続けることになった。

« 義経(1) 『怪し不思議の物語』番外編   「あぶない義経」 | トップページ | 義経(3)  『怪し不思議の物語』番外編  「色白・出っ歯・小柄」  »